タイトルロゴ


お知らせ

2011.4.1 修身教育関連の書籍販売のページをオープンしました。

研究者のご紹介

小池松次 プロフィール

小松

昭和3年佐賀県生まれ。長崎青年師範学校(現・長崎大学教育学部)卒。続いて東京教育大学教育学科(現・筑波大学)卒。大学講師・国際比較教育研究所所長・教育評論家を経て現在「あすか会教育研究所」所長。文筆・講演等で活躍中。テレビにも度々出演。

主な著書
「修身の教科書」(サンマーク出版)「日本人の品格を育てた小学国語読本」(致知出版社)
「天皇明仁の昭和史」高杉善治著 小池松次編者(ワック出版)
「小学校受験 目からウロコの合格ノウハウ」 (蔵書房)
「おばあちゃんの知恵と読書に学ぶ満点育児法」(日本館書房)
「30年前に日教組と教育基本法を骨抜きにした本」(日本館書房)
「教育勅語絵巻物語」(日本館書房)「修身・日本と世界」(日本館書房)
「餓死迫る日本」(学習研究社)

アメリカ版「道徳読本」の出現

 平成八年三月のことです。突然ニューヨークの「Time/タイム」誌の記者とカメラマンの二人が、「あすか会教育研究所」に、「これが修身だ」の編著者である筆者を訪ねて来ました。二人とも日本語は殆んど通じません。筆者も又、辞書を片手に外国文献を読む古風なタイプの学者で、外国語の発音もヒヤリングも苦手だから会話が弾みません。二人は、「アナタ有名」、「アメリカで一番有名な日本人」を繰り返すだけで、「なぜ有名か」の中身が判然としません。アメリカと筆者の関係は「これが修身だ」の「本」だけだから、ワシントンの国立図書館に所蔵された拙著が、どんな経緯で有名になったのか、どうして大きな話題になったのか腑に落ちません。


 タイム誌の記者との不完全燃焼の会談から暫く経って、今度はドイツの大学教授が筆者を訪ねて来ました。欧州の出版界でも格式の高い「シュピーゲル誌」の特派員として取材に来た、という自己紹介です。「アナタ有名」、「ドイツでアナタを知らない学者はいない」と、タイム誌の記者と似たような発言をします。そして「アナタの論文はスゴイ」と、筆者の著述の話をします。しかし、拙著は、アメリカの国立図書館にはあるかもしれないが、どうしてドイツの学者が知っているのか納得がいきません。その教授は、「ドイツでアナタのことを調べていたけど、最後は著者本人に直接話を聞きたくて日本に来た。日本の文明はドイツで想像していた以上にスバラシイ」と学者らしい言葉を残して帰国しました。お互いに相手の国の言語が不自由で中途半端な会談でしたが、日本の社会で毛嫌いされて来た拙著が、欧米で評価されているらしいことが朧げながら判明して意を強くしました。


 話は飛びます。タイム誌とシュピーゲル誌に取材された事もすっかり忘れてしまっていた或る日のこと、アメリカで「世界出版社」という名の会社を設立して、日本の書籍を自分で英訳して販売していた東大出の英語達人・茂木弘道社長の著書を読んでいてハッとしました。


 「アメリカでThe Book of Virtuesという本が出版され、第二の聖書と呼ばれるほど売れている。どうも、この本は日本の修身教科書を真似ているらしい」、と書いてあるではありませんか。慌てて茂木社長に頼んでニューヨークから原書を輸入して読みました。なんとContents(章立て)が拙著とそっくりです。裏表紙の推薦文(Acclaim for The Book of Virtues)を読んでもっと驚きました。全部で十一の推薦文の一番が「タイム誌」で、四番が英国のサッチャー首相でした。「なあーんだ、そうだったのか、タイムもシュピーゲルも、一言、『アナタの〝これが修身だ〟を底本・種本にしたアメリカの道徳読本が超ベストセラーになったので取材に来ました』と説明してくれたら良かったのに」、とぼやきも出ましたが、凡ての疑問が一瞬に氷解しました。タイムもシュピーゲルも、当然筆者(小池)は「道徳読本」の存在を承知しているものと思い込んで話を進めていたから会談が噛み合わなかったのです。筆者の迂闊と会話力の不足で、折角遠路遥々と訪日してくれた両誌の記者氏に気の毒なことをしたと深く反省しています。